トルコ情勢
トルコのエルドアン首相は26日、シリアの首都ダマスカスを訪問し、同国のアサド大統領と会談した。首相は「シリア、イスラエル双方から(両国の和平交渉再開の)依頼を受けている」と述べ、トルコが交渉再開の仲介に動いていることを確認した。
シリア、イスラエルの和平交渉は00年、イスラエル占領下のゴラン高原の返還問題で決裂し、中断したまま。両国関係は緊張と停滞を繰り返し、具体的な進展はない。
AP通信によると、エルドアン首相は会談後、「(シリア、イスラエル両政府の)事務レベル交渉から始め、うまくいけば高官協議になるだろう」と期待感を示した。イスラエル放送によると、同国のオルメルト首相の側近が最近、トルコを訪れ、和平実現と引き換えにゴラン高原の返還問題で譲歩する用意があるとのシリアあての伝言を託したという。
一方、アサド大統領はカタール紙のインタビューで、トルコの仲介で約1年前から水面下の折衝が始まっていたと指摘。ただ、「交渉には米国の次期政権の仲介が不可欠だ」との見方も示した。
シリア、イスラエル双方とも和平実現に関心はある。しかし、シリアがゴラン高原の完全返還を前提とするのに対し、イスラエルは返還の詳細には言及しない。また、イスラエルを敵視するイランとの連携や、レバノンのイスラム教シーア派民兵組織ヒズボラ、パレスチナのイスラム原理主義組織ハマスへの支援中止をシリアに迫っており、交渉の本格再開には課題も多い。
【ことば】ゴラン高原 シリア南西部からイスラエル北部に広がる標高300~1200メートルの戦略的要衝で、面積は約1150平方キロ。67年の第3次中東戦争でイスラエルが占領した。ユダヤ人入植者と、イスラム教ドルーズ派が中心のシリア側住民が住んでいる。イスラエルに必要な水の2~3割を供給する水源地で、国連兵力引き離し監視軍(UNDOF)が展開している。



